まぶたが重いと感じる理由
「まぶたが重い」
「夕方になると目がつかれる」
「目のつかれからくる頭痛や肩こりがひどい」
こういった症状の原因としていちばんにあがるのはまぶたの筋肉が原因でまぶたが下がる「眼瞼下垂症」ですが、実際にはそれ以外が原因になっていたり、いくつかが重なっていることも少なくありません。
「まぶたが重い」と感じる理由
1.ひとえまぶた
2.さかまつげ
3.まぶたが厚い
4.まぶたの腫れ
5.まぶたのむくみ
6.まぶたのたるみ
7.眉毛下垂
8.まぶたの筋力が弱い
9.腱膜性眼瞼下垂症
1.ひとえまぶた
ふたえのラインである「重瞼線」がない「ひとえまぶた」の場合はまつげの上に皮膚がかぶさってまつげの付け根がみえなかったり、皮膚がさがって目がかくれてしまっていることがあります。
まつげの付け根や目の一部がかくれているとまぶたが重い感じがしたり、無意識に眉が上がったりしやすくなります。一日眉毛を上げつづけいていると夕方には疲れてしまい、さらに重く感じたり頭痛や肩こりの原因になることも。アイプチやふたえテープなどでふたえのラインをつけると重い感じが解消されるようなら重い感じの原因はひとえまぶたと考えてよいでしょう。
対処法:アイプチやふたえテープを使う、ふたえ埋没法、ふたえ全切開法
2.さかまつげ
ふたえの線があるかどうかにかかわらず、まぶたの皮膚がまつ毛に当たって下に押されているようなら「さかまつげ(睫毛内反)」です。まつ毛が下に押されると視野が狭くなり、感覚的にも重い感じ、うっとうしいような不快感が生じます。また、重みを解消するため無意識に眉毛が上がりやすくなります。ひとえまぶたと同じように眉毛を上げるのに疲れてさらに重く感じたり、頭痛や肩こりの原因になることもあります。
まつ毛が目に当たって痛みや涙、目やにがでるようなら早めに治療を受ける必要があります。
対処法:アイプチやふたえテープを使う、ふたえ埋没法、ふたえ全切開法、睫毛内反症手術(さかまつげの手術)
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3.まぶたが厚い
まぶたが構造的に厚ぼったい場合、まぶたを持ち上げる筋肉に負担がかかりまぶたが重く感じることがあります。まぶたを持ち上げる筋肉はそれほどパワーがあるわけではないため、厚みが増すほど重く感じることになります。
まぶたが厚い原因は、皮膚が厚い、脂肪(ROOF、ルーフ)が厚い、目のまわりにある眼輪筋が厚い、眼窩脂肪が多いなど人によりさまざまです。いくつかが重なっているとさらに重く感じる原因に。
対処法:上眼瞼徐皺術(皮膚の厚みは変えることができませんが支障ない範囲で切除し、同時に減量できる眼輪筋を切除します)、眼窩脂肪切除、ROOF切除
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4.まぶたの腫れ
まぶたが腫れると重く感じる原因になります。腫れそのものの原因は、炎症によるもの、けがなどによるもの、手術によるものなどさまざまです。
対処法:通常は腫れの原因が解消されれば改善します。けがや手術が原因の場合は直後から2,3日は冷却(クーリング)により腫れを最小限にすることができます。まれに原因不明の腫れが持続することがあります。その場合はまぶたが厚いときと同様に組織を減量する手術が有効なことがあります。
5.まぶたのむくみ
水分や塩分のとりすぎ、お酒を飲んだあと、月経、甲状腺ホルモンの低下などが原因で顔がむくむとまぶたもむくんで重く感じるようになります。
対処法:生活習慣の改善、むくみの原因への対処
6.まぶたのたるみ
まぶたの皮膚がたるんで下がってくると、ふたえの幅が狭くなったり皮膚が目のほうにたれ下がってきて重い感じがすることがあります。
たるみの程度は年齢とともに進行しますが、個人差がおおきく同年代でも人によってさがあります。
対処法:ボトックス(まぶたリフト)、ハイフ(まぶたまわり)、リフトアップヒアルロン酸、上眼瞼徐皺術(まぶたのたるみとり)、眉毛下切開法(眉下のたるみとり)
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7.眉毛下垂
加齢や顔面神経麻痺でまぶたが下がると重い感じの原因になります。加齢は両側同時に、顔面神経麻痺は麻痺のある片側だけの眉毛が下がります。
対処法:リフトアップボトックス、顔面神経麻痺ボトックス、リフトアップヒアルロン酸、ハイフ(額)、前額リフト(おでこのリフトアップ手術)、眉毛挙上術、眉毛下切開法(眉下のたるみとり)、眼瞼下垂症手術など
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8.まぶたの筋力が弱い
うまれつき筋力がよわい場合と、後天的にまぶたの筋力が弱まる場合があります。先天的な場合でまぶたが下がっていると先天性眼瞼下垂といわれます。
先天性眼瞼下垂は中等症以上では幼少期に手術が行われることが多いのですが、軽症例では成人後もとくに治療がおこなわれず、加齢により徐々にまぶたが下がってくることで重く感じるなど不都合を感じる場合があります。
後天的には加齢による筋力の低下、まぶたのたるみ、神経麻痺、けがや手術の影響、筋肉の病気(重症筋無力症)などが考えられます。
対処法:眼瞼下垂症手術(挙筋前転法)、眼瞼徐皺術(たるみとり)、上眼瞼形成術(たるみとり+眼瞼下垂症手術)、眉下切開法(眉下のたるみとり)、その他該当疾患の治療
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9.腱膜性眼瞼下垂症
まぶたの筋力には問題がなくても筋肉の動きを伝えるうすい膜状の組織である「腱膜」がたるんだりゆるんでしまうことでまぶたが開きにくくなることがあります。これを「腱膜性眼瞼下垂症」といいます。原因は加齢によるもの、まぶたや結膜の炎症、コンタクトレンズ(とくにハード)の長期使用などがあります。
ゆるんだ腱膜をたくしあげてまぶたの硬い組織「瞼板」にとめつけてあげることで力が伝わりやすくなりもとのようにまぶたが開くようになります。皮膚のたるみも併存していることが少なくないため、たるみ取りを同時に行うのも重さを解消するために効果的な治療法です。
対処法:眼瞼下垂症手術、上眼瞼形成術(たるみとり+眼瞼下垂症手術)
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執筆
山下 明子 医師
YAMASHITA, Akiko
顔のクリニック金沢 院長
経歴:岐阜県出身
平成15年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業
同年 金沢医科大学形成外科入局
平成18年 産業医科大学形成外科留学
平成26年 金沢大学皮膚科形成外科診療班
平成29年 顔のクリニック金沢専任医師
専門医資格等:
日本形成外科学会 専門医
日本美容外科学会(JSAPS) 専門医
金沢医科大学形成外科学 非常勤講師
※費用について
お問い合わせ・ご予約
TEL 076-239-0039
10:00 a.m. ~ 18:00 p.m.
【学術活動】顔面神経麻痺後遺症に対するボツリヌストキシンを用いたtotal facial balancing
【目的】ベル麻痺やハント症候群などの末梢性顔面神経麻痺による後遺症に対し、頚部を含めた顔面全体の静的、動的非対称を改善する目的でボツリヌストキシンを用いた治療を行いその効果と持続性について検討したので報告する。
【方法】2019年1月から2023年12月までに顔面神経麻痺後遺症に対してボツリヌストキシンによる治療を行った症例を対象とし、診療録と臨床写真を用いて後ろ向きに調査を行った。投与部位は患側、健側を問わず顔面、頚部の安静時、運動時に左右差を認める表情筋等で、それぞれ1か所あたり0.25~6単位投与した。投与後は患者に表情筋ストレッチと、ミラーバイオフィードバック訓練によるリハビリテーションを指導した。治療効果と持続性を投与前、2週後、3ヶ月後の臨床写真をもとに評価した。
【結果】24例に対しのべ93回治療の治療を行った。1回あたりのボツリヌストキシン投与量は平均15.3単位であった。全例で顔面のこわばり、静的および動的な非対称、病的共同運動の改善を認めた。ワニの涙現象を認めた1例では涙腺への投与により流涙が消失した。顔面の対称性を評価するSunnybrookスコアは治療前70.7点、治療後87.3点と有意に改善を認めた(p<0.01)。
効果の持続性については拘縮の指標として安静時の瞼裂縦径を、病的共同運動の指標として運動時の瞼裂縦径を設定し統計学的に検討した。安静時の瞼裂縦径(健側との比)は治療前0.95、2週後1.03、3か月後0.97であり、拘縮については3か月で治療前の状態に戻っていた。一方、運動時の瞼裂縦径は治療前0.67、2週後0.93、3か月後0.75と治療後3か月を経過しても治療前に比し有意差を認め(p<0.05)、病的共同運動に関しては治療効果が3か月以上にわたり持続することが明らかとなった。
【考察】ボツリヌストキシンによるtotal facial balancingは低侵襲で顔面神経麻痺後遺症患者のQOL改善に有効な治療法と考えられた。
比べて納得、切開ハムラと裏ハムラ
□自分にあったくま取り施術がわからない
□方法がいろいろあって違いがよくわからない
□クリニックに行く前にある程度自分で知っておきたい
今回はくまとり手術のなかでも切開ハムラ(経皮法)と裏ハムラ(経結膜法)の違いに着目し、症例写真を比べながら解説します。
【比べて納得その①】ダウンタイムの違い
皮膚を切開する切開ハムラ(下眼瞼形成術、経皮法)と皮膚を切らない裏ハムラ(下眼瞼形成術、経結膜法)ではダウンタイムの経過が違ってきます。
皮膚を切開するほうがあとが目立つ期間が長くなります。
症例①50代女性、切開ハムラ(下眼瞼形成術、経皮法)
ダウンタイムの様子(上:術前、中:術後1週間、下:術後1か月)
※1か月目の頬の赤みはしみの治療(トレチノインハイドロキノン療法)によるものです。
●切開ハムラのダウンタイムについて
・腫れや内出血が目立つ期間は1〜2週間程度です。
・腫れを予防するため希望される方には2〜3日目の下にテーピングをおこないます。
・マツゲのきわの皮膚を切開するため傷あとの赤みが数か月から半年みられます。
・傷あとは半年程度でほとんどわからない程度におちつきます。
症例①手術前後の比較(上:術前、下:術後6か月)
症例②30代女性、裏ハムラ(下眼瞼形成術、経結膜法)
ダウンタイムの様子(上:術前、中:術後1週間、下:術後1か月)
●裏ハムラのダウンタイム
・腫れや内出血が目立つ期間は3〜10日程度です。
・腫れを予防するため希望される方には2〜3日目の下にテーピングをおこないます。
・すべて裏側の結膜切開からおこなう《内固定法》のため、皮膚に傷はありません。
・脂肪の固定は内固定(裏側の切開からおこなう)ため、直後に皮膚から糸が出ていたりすることもありません。
症例②手術前後の比較(上:術前、下:術後6か月)
《豆知識》裏ハムラと全身麻酔
裏ハムラの最大のポイントは皮膚のひっかかりになっているリガメントを確実にはずす《ティアトラフリリース》をおこなうことです。《ティアトラフリリース》が不十分になってしまうと、くまの影がのこってしまいます。
顔のクリニック金沢ではまぶたの裏の小さな切開から確実に靱帯をリリースするために《高周波メス》をつかったリリース法を採用しています。高周波メスによるリリースは局部麻酔だけではどうしても痛みを感じてしまうことが多いため、全身麻酔での施術をおすすめしています。全身麻酔には痛みによる血圧上昇をおさえて腫れや内出血を少なくするというメリットもあります。
全身麻酔については麻酔科専門医による日帰りで体への負担が少ない《全静脈麻酔(TIVA)》という麻酔法を採用しています。《静脈麻酔》のデメリットであった眠りの深さの個人差をなくすため、脳波を測定しながら麻酔薬を最小限にコントロールしています。これによりいやな夢をみる、途中で目がさめる、呼吸が止まってしまうなどのリスクなく安全・安心に手術をうけることができます。
【比べて納得その②】ふくらみの大きさ
ふくらみが大きい「バギーアイタイプ」には切開ハムラをおすすめしています。大きくふくらむことで皮膚が伸ばされてしまい、ふくらみを移動させたあとのたるみ感が目立ってしまうためです。
症例③50代女性、切開ハムラ(下眼瞼形成術、経皮法)
上:術前、下:術後6か月
ふくらみのやや大きい目袋(バギーアイ)でした。皮膚を切開してのびた皮膚を取り除くことでハリのある目の下になっています。
症例④30代女性、裏ハムラ(下眼瞼形成術、経結膜法)
上:術前、下:術後6か月
30〜40代でふくらみがそれほど大きくないタイプであれば皮膚を切らない裏ハムラをおすすめします。
【比べて納得その③】肌のハリと質感
ふくらみが中くらいのタイプで、ダウンタイムを軽くすませるために裏ハムラをトライしてみることは可能です。ただし、手術前より目の下のハリが低下し、小じわが気になる可能性があります。
症例⑤40代後半女性、裏ハムラ(下眼瞼形成術、経結膜法)
上:術前、下:術後6か月
手術前に比べると目の下の皮膚のハリが低下し、小じわが目立っています。気になる場合はピーリングやレーザーなど肌のハリを改善する追加の治療を受けることが可能です。「小じわは気になるけどあとから追加の治療をできればしたくない」という場合ははじめから切開ハムラのほうがよいかもしれません。担当医とよく相談して決めることをおすすめします。
症例⑤40代後半女性、裏ハムラ(下眼瞼形成術、経結膜法)
上:術前、下:術後6か月
同じ年代でふくらみが中くらいのタイプであっても、肌の質感がそれほど変化しないことがあります。小じわが術後に目立つかどうかを手術前に正確に予想することは難しいため、どうしても裏ハムラで、という場合には小じわが目立ったときにどうするかも考えて受ける必要があります。
執筆・上記症例の執刀医
山下 明子 医師
YAMASHITA, Akiko
顔のクリニック金沢 院長
経歴:
岐阜県出身
平成15年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業
同年 金沢医科大学形成外科入局
平成18年 産業医科大学形成外科留学
平成26年 金沢大学皮膚科形成外科診療班
平成29年 顔のクリニック金沢専任医師
専門医資格等:
日本形成外科学会 専門医
日本美容外科学会(JSAPS) 専門医
金沢医科大学形成外科学 非常勤講師
※合併症やリスク:薬剤のアレルギー、出血、感染・異物反応、眼瞼変形、結膜炎など
※費用について(自由診療)
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経結膜法(裏ハムラ)の場合は安全で確実な治療をうけていただくために全身麻酔での治療をおすすめしています。全身麻酔の場合は体への負担がすくない麻酔法である《全静脈麻酔(TIVA)》の費用と全身麻酔術前検査(日帰り入院管理料を含む)がかかります。
費用の見積を希望される場合は診察のご予約をおとりください。現在の状態、ご希望を確認したうえで手術方法を決定し、見積をおわたしいたします。
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10:00 a.m. ~ 18:00 p.m.
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※厚生労働省のガイドラインに準拠して治療の詳しい内容、費用、合併症等を記載したうえで、術前・術後の写真やイラストを掲載しています。