【学術活動】下顎輪郭形成でみる手術手技の実際
第40回日本頭蓋顎顔面外科学会学術集会
パネルディスカッション4
【顔面輪郭形成術(Facial contouring surgery)の実際】
テーマ:輪郭3点(頬骨と下顎の手術)において、安全でよい結果を得るための手技や 骨切りのデザインについて。
《演題/演者》
◆安全に良い結果を得るためのFacial contouring surgery: 本日の焦点 リラ・クラニオフェイシャル・クリニック 宇田 宏一
◆Facial contouring surgery 私の方法 ヴェリテクリニック 藤本 雅史
◆下顎輪郭形成でみる手術手技の実際 金沢医科大学形成外科/顔のクリニック金沢 山下 昌信
◆How to design the face to obtain ideal outcome in facial bone contouring surgery THE PLUS Plastic Surgery(ザ・プラス美容外科) Dr.Kim, Teak-Kyum (キムテッキュン)
《概要》
下顎輪郭形成でみる手術手技の実際
金沢医科大学形成外科/顔のクリニック金沢 山下 昌信
◆診断について
3DCT(骨格の立体画像)による術前診断が必須。
◆オトガイ骨切り(中抜き、あごを小さくした場合)の症例呈示
必要最小限の切除・削除量にとどめることで十分に小顔化をはかりつつ、たるみを予防することができる(骨を多く取り過ぎるとたるんでみえる)。中抜き後の両端に生じる段差は下顎縁がなめらかになるよう削って整える。
◆オトガイ形成(jumping genioplasty、あごを前に出した場合)の症例呈示
※Henry K. Kawamoto, MD, Continuing Medical Education Examination—Facial Aesthetic Surgery, Osseous Genioplasty Aesth Surg J. 2000より引用
jumping genioplasty(オトガイの骨片を下顎骨の上に乗り上げるようにして大きく前に出す方法)により著しい少顎の症例でも大幅な前方移動が得られる。固定はステップ状にベンディング(曲げた)したプレートを使用し、オトガイの骨片を安定させるため(上にはねあがらないように)外側をスクリューでブロックする必要がある。
◆下顎角形成(エラを小さくした場合)の症例呈示
画像解析ソフトを用いたシミュレーションにより患者と治療ゴール(どこまでエラをちいさくしたいか)を共有することが大切。耳垂基部(耳たぶの付け根)から1.5㎝程度下に下顎角(エラの角)がくるようにすることで、自然な形態を保つことができる。また、下顎縁の形態をわずかに下方に凸にすることでより自然な形態となる。実際の手技についてはあらかじめデザインに合わせて作成した術中ガイドに沿ってピエゾサージャリー(超音波骨切削機)で骨切りラインを浅く削り、これを目安にしてレシプロケーティングソーで骨切りをおこなっている。
三次元モデルから作成した術中ガイドを使用することでデザイン通りの骨切りが可能となる。術中ガイドはギプス等に用いられるアクアプラストT(熱可塑性樹脂)を使用することで簡便に作成できる。
さらに外板(骨の外側の硬い部分)を削ることによりあごの横幅を減量することができる。
◆問題症例の呈示(他院症例)
①下顎角が欠損し二次角が目立ってしまった例
デザイン通りに骨切りするためにはやはりガイドが必要。また、オシレーティングソーでの骨切りでは骨切りラインが頭側・前方へずれやすいので注意が必要。
②下顎縁の過剰な切除例
骨切除量を神経が温存できるギリギリまでにしても軟部組織(頬や顎下のお肉)のボリュームなどにより、たるみ感、不自然さだけが目立ってしまうことがある。下顎縁の形態が上に凸になるとさらに不自然となる。
◆頬骨縮小術の症例呈示
現在行っている骨切りデザインについて(L字型骨切り)。
《ディスカッションの概要》
・頬骨縮小術
デザイン、固定方法、頬の下垂(たるみ)予防について。
・下顎骨形成術(下顎角形成、オトガイ形成)
デザイン、Vライン形成の限界、外板削除(切除)の是非、出血への対策について。
※費用や合併症、ダウンタイムについては下記のコラムをご参照ください。
《関連コラム》
下顎角形成 自然な変化のエラ治療
【症例】下顎角形成術とダウンタイムについて
【症例】オトガイ形成術とダウンタイムについて
監修:顔のクリニック金沢、金沢医科大学形成外科 医師 山下 昌信