口が閉じにくい4つの原因
口が閉じにくい状態=lip incompetence
口が閉じにくい、口元に力をいれないと閉じれないといった症状を《lip incompetence(口唇閉鎖不全)》といいます。
lip incompetence(口唇閉鎖不全)の原因
《歯や骨格》のような硬い組織と《唇や皮膚》のようなやわらかい組織のバランスが合っていないことが唇を楽にとじることができない原因になっています。無理に力を入れて口を閉じようとするとあごに梅干しのようなしわができたり、鼻の下がのびてしまうこともあります。
鼻の下の長さを改善させる手術に《人中短縮》という方法がありますが、lip incompetenceによって鼻の下が伸びているのに《人中短縮》をしてしまうと、唇や鼻の変形が目立ってしまったり口が閉じにくいという症状が悪化してしまうこともあります。
lip incompetence(口唇閉鎖不全)4つのタイプ
バランスの不均衡によって唇が閉じにくく、閉じようとするとうめぼしじわができたり鼻の下が伸びるという反応は無意識におこる現象なので、“口元の力を抜く”といった方法では対処できません。口元のバランスの不均衡には4つのタイプがあります。
1、前歯がでている
2、小顎・あごが小さい
3、受け口・顎が長い
4、上あごが長い
それぞれのタイプに応じた治療を選ぶことが大切です。
lip incompetence(口唇閉鎖不全)の治療
1、前歯がでている
前歯が出ていることで唇が閉じにくい出っ歯タイプ。歯がこみあって生えている《叢生》や歯が外向きに生えている《唇側傾斜》のように歯の生え方や向きだけの問題であれば装置をつけて歯ならびをなおす《歯科矯正》で口が閉じやすくなります。
歯肉や骨格から口元が出ている《上下顎前突/じょうかがくぜんとつ》であれば歯科矯正だけでなく《上下顎骨切り術(両顎手術)》のような骨格の治療が必要になることもあります。
2、小顎・あごが小さい
あごが小さい“小顔”は若々しく見えるのはメリットですが、小さすぎると皮膚や筋肉とのバランスが合わずに唇が閉じにくい原因となります。下あごだけが小さいと上下の前歯のすきまを下の唇でふさいでいたり、あごを前にだしてなんとかバランスをとっていることもあります。
《オトガイ形成》《下顎枝矢状分割術(SSRO・BSSO)》《上下顎骨切り術(両顎手術)》などで骨格のバランスを整えることで口が閉じやすくなるだけでなく、横顔のEライン、唇のCカールが整い、食べる・咬む・いびきといった機能まで改善できることもあります。
3、受け口・顎が長い
あごの骨が大きすぎる場合も唇が閉じにくくなります。骨格が大きかったり前に出ているだけでかみ合わせに問題がなければ《オトガイ形成》《Vライン形成》であご先の骨の形を整えれば口元が閉じやすくなります。
骨格が出ているだけでなく上下のかみあわせも合っていない《下顎前突(顎変形症)》であれば《下顎枝矢状分割術(SSRO・BSSO)》や《上下顎骨切り術(両顎手術)》で口元を閉じやすく、見た目だけでなく咬む、食べるなどの機能も改善させることができます。
4、上あごが長い
笑うと上の歯肉が目立つ《ガミースマイル》なら上あごの骨格が長い可能性があります。上あごとは上の歯肉やその周囲にある《上顎骨》のことです。上あごの骨を縦方向に短くする《ルフォーⅠ型骨切り術》で歯肉を見えにくくし、口を閉じやすくすることができます。中顔面の余白や面長感も改善されます。
余分な力が入らずリラックスした口元が美しい表情のポイントです。
監修:顔のクリニック金沢、金沢医科大学形成外科 医師 山下 昌信